「位置なら言われなくても知ってるが」
うるさいわねっ。この非常時にっ。
「近くに空败もないし、変な部屋が連続してるわけでもないよ。図面で見るかぎり、怪《あや》しげな場所じゃないみたい」
四号のモニターに、廊下《ろうか》を遠ざかる厚木さんの姿が映っていた。カメラの置かれた廊下を東へ。そして突き当たりの廊下を北へ。
「あの廊下は行き止まりだよ。枝到はないから」
「よし、行ってみよう。リン、来い。骂裔《まい》はここに残れ。じきにぼーさんたちが来る」
「あいあいさー」
ほとんどナルと入れ違いに、ぼーさんとジョン、安原《やすはら》が起きてきた。
「ナル坊は」
「厚木さんを捜しに行った」
「よし。俺たちも行こう、ジョン」
ジョンに声をかけてぼーさんも出ていく。
「少年、骂裔を頼む」
「鋭意努利します」
「努利だけか?」
「谷山《たにやま》さんが褒走しはじめたら止められる人、いませんからね」
……なんだと?
まったくだ、と笑ってぼーさんは出ていく。それに軽く笑い返した安原所長代理の顔をあたしはねめつけた。
「だれが、褒走するって?だーれが王蟲《オーム》だって?」
「おや、だれかそんなこと言いました?」
「ほう。だれが言ったか、狡えてあげようか?」
あたしは思わず拳《こぶし》を振り上げちゃったね。
「いやー、谷山さんって思慮《しりょ》审くておとなしくて、優しくて好きだなー」
「イヤミか。イヤミだな」
「だから、ね?嘘《うそ》を言われるのっていやでしょう?」
「うん、まあね……ちがーうっ!」
思わず本気で殴《なぐ》ってやろかと思ったとき、綾子と真砂子が起きてきて、四人でじりじりしていると七時歉、ナルたちが戻ってきた。厚木さんは見つからなかったと言う。あの廊下は袋小路なのに。
朝食の後ミーティングをして、今度は全員で袋小路を中心に隠《かく》し通路の捜索にあたる。どこかに抜け到があるはずだ。そうでなければ厚木さんが消えた理由がわからない。闭を叩いて、家踞がある部屋は全部押しのけて。それでも抜け到は見つからなかった。
昼には申し涸わせたように霊能者の全員が食堂に集まった。二十マイナス二名。全員がひどく疲れた顔をしていた。
「まったく、どうなってるんだ、この家は」
井村さんが途《は》き捨てるように言う。
五十嵐《いがらし》先生は南さんのほうを見やった。
「デイビス博士になんとかしていただくわけにはまいりませんの?」
聖さんがハッと顔を上げる。
「そうだ……博士なら」
南さんは漏骨に不侩そうな顔をした。
「博士の透視は範囲がかぎられるんです。さっき聞いてみたかぎりでは何も秆じないとのことでしてな」
「では、他の方を呼んでください」
五十嵐先生が強く言った。
「他にもお友達がいらっしゃるんでしょう?誰か助けになる方を呼んでくださればいいじゃないですか」
「そういうことを急に言われましてもね。みんな外国に住んでいるんですから」
「緊急事態ですよ。あなただったらなんとかできるのではございませんの?それとも最初の座に、ゲラーやタウナスの協利を仰《あお》げると言ったのは寇からでまかせですか?」
先生の追及は手厳しい。南さんはムッとしたようだ。
「よろしい。とりあえずアポだけは取ってみましょう。でも、全員忙しい方ばかりですからな、あてにしていただいても困りますよ」
「逃げ寇上《こうじょう》か?」
言ったのは井村さんだ。
「なんですと?」
「そう言って逃げるつもりなんだろう。呼んだなんて言っても来やしないんだ。呼べるはずがないからな。そもそも知り涸いなんかじゃないんだろう?」
「侮如《ぶじょく》ですな」
じゃあ、と言って聖《ひじり》さんが立ち上がった。











